SNS広告の基本知識

そもそもSNS広告ってどういうもの?
SNS広告は今やWebプロモーションの主力手段の一つです。しかし、「SNS運用」との違いや、他のWeb広告との使い分けが曖昧なまま進めてしまうケースも少なくありません。ここでは、SNS広告の基本知識を丁寧に整理します。
SNS広告とは
SNS広告とは、Facebook・Instagram・LINE・TikTok・X(旧Twitter)などのソーシャルメディア上で配信される広告のことです。各SNSプラットフォームが提供する広告管理画面から、ターゲティングや予算設定を行い、ユーザーのタイムラインやストーリーズなどに広告が表示されます。
SNS広告が多くの企業に支持されている理由には、次のような特徴があります。
- ターゲティング精度が高い(年齢・性別・興味関心など)
- 短期間・少額予算からでも始められる
- 視覚的に訴求力のあるフォーマット(画像・動画など)を訴求できる
広告主の目的や配信手法に合わせて柔軟に活用できるのが大きな特徴です。
リスティング広告との違い
リスティング広告(検索連動型広告)は、Googleなどの検索エンジンで特定のキーワードを検索したユーザーに対して表示される広告です。
一方、SNS広告はユーザーの検索行動ではなく、「興味関心」や「属性」に基づいて配信されます。
- リスティング広告:ニーズが顕在化しているユーザーに最適
- SNS広告:まだニーズが明確でない潜在層にもアプローチできる
認知〜興味喚起のファーストステップとしてSNS広告が強いといえます。
SNS運用との違い
「SNS広告」と混同されがちな「SNS運用」は、企業のアカウントから日常的に情報発信を行う活動です。広告のように配信枠を購入するのではなく、フォロワーとの関係性構築を目的としています。SNS運用は基本的に無料で始めることができ、日々の発信やコメント対応などが中心となります。
- SNS運用:無料で始められ、ブランドの信頼性や親しみを育てる
- SNS広告:短期的にリーチ・反応を獲得したいときに効果的
両者をバランスよく活用することで、広告による即効性+運用による継続性が生まれます。
効果を発揮するシーン
SNS広告が特に効果を発揮するのは以下のようなケースです。
- 新商品・新サービスのリリース情報を素早く広めたい
- 若年層などSNS利用率の高い層にリーチしたい
- ビジュアルや動画などで商品の魅力を伝えたい
- 短期キャンペーン・イベントの集客をしたい
タイムリーな情報発信や視覚的訴求が鍵となるプロモーションには、SNS広告が最適です。
さらに、SNS広告の具体的な効果や導入メリットについて知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
SNS広告の代表的な課金方式
SNS広告では複数の課金方式が用意されており、それぞれに適した目的やメリットがあります。広告の成果を最大化するには、自社の商材や広告目的に合った課金方式を選ぶことが不可欠です。ここでは、主要な4つの課金方式について費用の目安と特徴を解説します。
課金方式 | 主な目的 | 相場 |
---|---|---|
クリック課金(CPC) | 顧客獲得・誘導 | 50〜120円/1クリック |
インプレッション課金(CPM) | 認知拡大 | 300〜800円/1,000回表示 |
アプリインストール課金(CPI) | アプリインストール促進 | 100〜300円/1インストール |
動画再生課金(CPV) | 動画訴求 | 3〜10円/1再生 |
クリック課金(CPC)
クリック課金(Cost Per Click)は、広告がクリックされたタイミングでのみ費用が発生する仕組みです。費用対効果の管理がしやすく、新規顧客獲得を重視する企業に向いています。
- 特徴:クリックされなければ費用が発生しない
- 向いている目的:新規顧客の獲得
- 相場:1クリックあたり50〜120円
成果を重視したい企業におすすめの課金方式です。
インプレッション課金(CPM)
インプレッション課金(Cost Per Mille)は、広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する仕組みです。ブランドの認知拡大を目的としたプロモーションに効果を発揮します。
- 特徴:クリックの有無に関係なく、1,000回表示ごとに課金
- 向いている目的:認知向上、ブランディング
- 相場:1,000インプレッションあたり300〜800円
認知拡大に強みを持つ課金モデルです。
アプリインストール課金(CPI)
アプリインストール課金(Cost Per Install)は、ユーザーがアプリをダウンロード・インストールした時点で費用が発生する仕組みです。アプリ提供型のビジネスにおいて主流の課金モデルです。
- 特徴:アプリがインストールされた時点で費用が発生
- 向いている目的:アプリの新規インストール促進
- 相場:1インストールあたり100〜300円
アプリ事業にとって最も費用効率の高いモデルです。
動画再生課金(CPV)
動画再生課金(Cost Per View)は、ユーザーが一定時間動画を視聴したときにのみ費用が発生する仕組みです。YouTubeやTikTokを中心に活用される形式です。
- 特徴:動画が最後まで、または一定秒数再生された場合のみ課金
- 向いている目的:商品説明、ブランドイメージ訴求
- 相場:1再生あたり3〜10円
動画での印象づけを重視したい方におすすめの形式です。
SNS広告費用を媒体別に比較【2025年最新】
SNS広告の費用は媒体ごとに大きく異なります。それぞれのSNSは、ユーザーや特徴、課金モデルが違うため、自社の商品やサービスに最適な媒体を選ぶことが、広告効果を高める第一歩です。ここでは、主要6媒体の特徴と費用感を比較して紹介します。
媒体 | 平均CPC | 平均CPM |
---|---|---|
50~150円 | 500~1,000円 | |
60~100円 | 400~700円 | |
X | 30~80円 | 400~700円 |
TikTok | 50~70円 | 500~800円 |
LINE | 70~120円 | 500~900円 |
YouTube | ―※CPV主体3~8円 | 300~600円 |
Instagram広告
Instagramは20〜40代の女性を中心に人気があり、ビジュアルでの訴求力が高いため、ファッション・美容・飲食業界に適しています。
- 主な利用層:20~40代、特に女性
- 課金モデル:CPC・CPM・CPI・CPV
- 平均CPC:50〜150円
- 平均CPM:500〜1,000円
特にストーリーズ広告は視認性が高く、エンゲージメントが良好です。
視覚的訴求力を活かしたい業種におすすめです。
Instagram広告の費用についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひチェックしてください。
課金形式ごとの費用相場をわかりやすく解説しています!
Facebook広告
Facebookは幅広い年齢層が利用しており、ターゲティング精度が高いことが魅力です。BtoB向けや中高年層へのリーチにも強みがあります。
- 主な利用層:30~60代男女
- 課金モデル:CPC・CPM・CPI・CPV
- 平均CPC:60〜100円
- 平均CPM:400〜700円
Instagramと同じMeta社が運営しているため、同時出稿もしやすいのが利点です。
幅広いターゲットに届く設計が可能です。
X広告
Xはリアルタイム性と拡散力に優れています。ニュース性の高い商材やキャンペーン告知に最適です。
- 主な利用層:10〜40代男女
- 課金モデル:CPC・CPM・CPI・エンゲージメント課金
- 平均CPC:30〜80円
- 平均CPM:400〜700円
トレンドに乗ったプロモーションがしやすく、リツイートによる二次拡散も期待できます。
拡散力重視ならXが効果的です。
TikTok広告
TikTokはZ世代を中心に人気があり、動画クリエイティブによるインパクトの強さが特徴です。音や動きを活かした広告が得意な業種に向いています。
- 主な利用層:10~30代、特にZ世代
- 課金モデル:CPM・CPV・CPI
- 平均CPC:50〜70円
- 平均CPM:500〜800円
ユーザー参加型のハッシュタグチャレンジなど、独自のフォーマットも強みです。
若年層向けの訴求には特に強力です。
TikTok広告の詳しい費用相場や成功事例、運用する際の注意点についてもっと知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
LINE広告
LINEは日本国内の利用率が非常に高く、年齢を問わず幅広いユーザーにリーチできます。リピーター施策や地域密着型の集客に強みがあります。
- 主な利用層:全年代
- 課金モデル:CPC・CPM・友だち追加課金
- 平均CPC:70〜120円
- 平均CPM:500〜900円
実店舗との連携やLINE公式アカウントとの連動も可能で、継続的なアプローチに適しています。
地域密着型の店舗運営や、リピーター獲得を重視したい方に最適です。
YouTube広告
YouTubeは長尺コンテンツに最適で、商品説明やブランドストーリーをしっかり伝えたい時に向いています。動画視聴中に差し込まれるため、印象に残りやすいです。
- 主な利用層:全世代
- 課金モデル:CPV・CPM
- 平均CPV:3〜8円
- 平均CPM:300〜600円
スキップ可能なインストリーム広告や、短尺で強制再生されるバンパー広告など、目的に応じた形式が選べます。
商材の理解促進やブランディングを重視する方に最適です。
YouTube広告の出稿方法や種類は下記の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
自社予算から算出するSNS広告費用の決め方

どれくらいの広告費をかければいいの?
SNS広告を始めるうえで、多くの企業が悩むのが「広告予算をいくらにするか」です。適切な金額は、業種や目的、目標によって異なりますが、予算の組み方にはいくつかの考え方があります。ここでは、売上やLTV(ライフタイムバリュー)をもとにした予算設計の方法と、予算別にできることを紹介します。
売上目標から逆算
まずは、月間や年間の売上目標から逆算して予算を考える方法です。
ステップ | 項目 | 内容 |
---|---|---|
STEP1 | 売上目標の設定 | 例:月間売上目標100万円 |
STEP2 | 利益率を算出 | 例:利益率30% → 利益30万円 |
STEP3 | 広告費の目安を設定 | 利益の30〜50% → 広告費目安 約9〜15万円 |
このように、あらかじめ利益に対してどれくらい広告に使えるかを定めると、無理のない範囲での出稿が可能になります。
売上目標に見合った費用配分が鍵になります。

広告費は目標達成から逆算するのが基本!
LTVベースで設計
LTV(ライフタイムバリュー)とは、1人の顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益のことです。SNS広告のような継続的アプローチが可能な手法では、この視点が非常に重要です。
ステップ | 項目 | 内容 |
---|---|---|
STEP1 | LTV(1人の利益)を算出 | 例:30,000円 |
STEP2 | 1人を集めるための予算を決定 | 利益を6,000円残すなら広告費は最大24,000円 |
STEP3 | 月の新規獲得数から全体予算を算出 | 例:10人集めたい → 月の広告費は最大24万円 |
この考え方なら、初回購入が低価格でも中長期的に利益が出る見込みがあれば、攻めた投資も可能です。
LTVを軸にした広告設計で、利益率を最大化できます。

1回の売上だけを見てはいけない!
月10万円・50万円・100万円で可能な施策
SNS広告は、少額からでもスタートできます。実際にどんな施策が可能か、予算別に一例を紹介します。
広告予算 | 配信内容 | 活用機能 | 主な狙い |
---|---|---|---|
月10万円 | 単一SNSで小規模配信 | 基本的な配信設定のみ | ターゲットごとの反応をテスト |
月50万円 | 複数SNSで本格配信 | リターゲティングやA/Bテスト | 獲得効率の改善とCV数増加 |
月100万円 | 配信ボリュームの拡大と細分化 | ターゲット別に複数パターンを同時検証 | 広告単価を抑えつつ、高精度な成果改善 |
予算が限られていても、適切な運用と検証を重ねることで、大きな成果につなげることが可能です。
規模に応じた施策設計がSNS広告の強みです。

限られた予算でも、目的に合った設計で成果は十分に狙えます!
SNS広告の代理店費用と選び方

代理店に頼むといくらかかるの?
SNS広告を効果的に運用するには、プロの力を借りることも重要な選択肢です。ただし、代理店に依頼するときは、費用の内訳や選定基準を正しく理解しておく必要があります。ここでは代理店に支払う費用の仕組みと、失敗しない選び方のポイントを解説します。
代理店の費用内訳
代理店にSNS広告を依頼する場合、以下のような費用が発生するのが一般的です。
- 運用手数料:広告費の20%前後が相場
- 初期費用:アカウント開設や設計に数万円〜
- クリエイティブ制作費:画像・動画制作に応じて別途
料金体系は代理店によって異なりますが、広告費とは別にかかるコストを把握しておくことが重要です。
料金の内訳を明確に提示できる代理店を選びましょう。
代理店利用のメリットと注意点
代理店に運用を任せることで、SNS広告の効果を最大限に引き出せる可能性があります。ただし注意点もあるため、事前に比較検討が必要です。
- メリット:
- 最新の媒体知識や運用ノウハウを活用できる
- 人手不足でも広告を継続的に運用できる
- 成果に応じた柔軟な改善提案を受けられる
- 注意点:
- 社内に知見が蓄積しづらい
- 報告・連携が不十分な代理店は成果が出にくい
信頼と実績のある代理店を見極めることが大切です。
費用対効果で選ぶ代理店
広告代理店選びで最も重視すべきは「費用対効果(ROAS)」です。安さだけで選んでしまうと、十分な成果が得られない可能性があります。
下記のポイントを目安に代理店を選定しましょう。
- 料金とサービス内容のバランスが良いか
- 過去の成果事例が具体的に提示されているか
- 広告費に応じて柔軟な対応ができるか
【シーエムスタッフのSNS広告支援】
株式会社シーエムスタッフでは、アカウント設計からクリエイティブ制作、配信後の分析・改善提案までワンストップで対応しています。
SNS広告の運用を効果的に進めたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
SNS広告の業界別事例
SNS広告はあらゆる業界で活用が進んでいますが、それぞれ適した媒体や配信戦略は異なります。ここでは、実際に成果を上げた業界別のSNS広告成功事例を紹介します。
【LINE広告】自動車業界の事例
株式会社シーエムスタッフが支援したホンダカーズ愛知東(株式会社ヤマト)様では、LINE広告を活用した来店促進施策を実施。TVer広告との併用により、訴求力を強化しました。
- ターゲット:潜在的な車購入・車検検討層
- 施策内容:
- LINE広告でキャンペーンを告知
- TVer広告でドローン撮影CMを配信し認知を拡大
- LINE・TVerともに柔軟なターゲティングを活用
- 成果:
- LINE広告ではCTR(クリック率)2%超を達成
- 広告経由での来店数が増加
- 潜在層への認知獲得から来店までの効果を実感
【X広告】EC業界の事例
Yahoo!ショッピング様では、Xの「アプリ購入数最適化(App purchase optimization)」を活用したアプリ広告を展開。直接的な最適化配信で購入意欲の高い新規ユーザーを効率的に獲得しました。
- ターゲット:アプリ内での新規購入が見込まれるXユーザー
- 施策内容:Xモバイルアプリプロモーション広告で「アプリ購入数最適化」をベータ先行導入し、インストール最適化と比較検証を実施
- 成果:
- アプリ内新規購入CPAが12%減少
- ROASが31%改善
- インストール後の新規購入CVRが24%向上
- X広告管理画面およびMMPデータの双方で明確な効果を確認
参考:Yahoo!ショッピング
【TikTok広告】日用品業界の事例
アース製薬株式会社様では、TikTokを活用して若年層へアプローチし、使用者層の拡大とブランド認知の向上に成功しました。
- ターゲット:若年層
- 広告内容:インスタントウィン形式を活用したプレゼントキャンペーン
- 成果:動画再生数・いいね数・コメント数が大幅に増加。特に公式アカウントのフォロワー数は当初想定の2倍以上に増加。
SNS広告費用に関するQ&A
SNS広告に関する費用面の疑問は多くの企業が抱えるポイントです。ここでは、実際によく寄せられる質問とその対処法をまとめています。
最低出稿金額はいくら?
シーエムスタッフでは、最低10万円からSNS広告を配信することができます。
「まずは試してみたい」「小規模でスタートしたい」といったご要望にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
業種ごとの平均的なSNS広告費用は?
SNS広告の費用は業種によって大きく異なります。特に競争の激しさが広告単価に影響するため、自社が属する業界の特性を理解することが重要です。
- 競争が激しい業界:
- 例:人材、金融、不動産など
- CPC・CPMが高くなる傾向
- ターゲティング精度やクリエイティブの質が重要
- 競争が比較的少ない業界:
- 例:ニッチなBtoBサービスなど
- 比較的、広告費用を抑えやすい
- 少額でも効果的な運用が可能
また、キャンペーン規模によっても予算は異なります。
- 小規模キャンペーン:月額10万円〜30万円程度
- 中〜大規模キャンペーン:月額50万円以上
業界ごとの単価傾向と目的に応じたキャンペーン設計が、適正な予算配分の鍵になります。
どのSNSが一番コスパが良いの?
媒体ごとにターゲットや目的が異なるため、一概に「一番良い」と言い切ることはできません。ただし、目的に応じてコスパの高い選択肢はあります。
- 認知拡大:YouTube・TikTok(CPMが安く拡散性も高い)
- CV獲得:Instagram・LINE(CPCが安定しCV率が高い)
- 拡散力重視:X(リツイートによる波及効果)
重要なのは、自社の商品・サービスに最も合ったSNSを選ぶことです。
まとめ
SNS広告の費用は課金方式や媒体ごとに異なり、目的に合った選択が成果を左右します。予算設計は売上目標やLTVから逆算し、費用対効果を重視することが重要です。代理店活用時は費用内訳を明確に把握し、実績を基準に選ぶと成功につながります。
今回の記事が、これからSNS広告を始めたいと考えているSNS担当者・マーケティング担当者の方の参考になれば幸いです。最新のトレンドや実績に基づいた運用を行いたい場合は、シーエムスタッフまでご相談ください。業種や商品・サービスを問わず、各企業様に最適なご提案をさせていただきます。
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