役に立つことと「編集力」


「〇〇は人生において何の役に立つのか」という質問を誰かに聞いたことのある人は少なくないでしょう。


例えば「数学は将来何の役に立つのか」を子供から親や先生へ問うシチュエーションは容易に想像できます。

実際にsinやcosを仕事で使う人は少ないでしょう。
私自身も学生時代に現代思想を研究していたので、哲学が仕事の役に立つのかということをよく聞かれてきました。


この類の質問において、あるひとつの方法や力が無視されていると私は感じています。
その方法や力とは、役に立つものと役に立つものの対象をつなげるものです。


「〇〇(役に立つもの)は〇〇(役に立つものの対象)にとって役に立つ」とは、それをつなげる人や系(システム)のなかで決定されます。
例えば、数学の公式はそれを”使用する人”や公理系のなかで役に立つものです。学歴、インスタグラムのフォロワー数、資格、勲章等々は、それらを扱う人の立場や環境によって(つまり、”使用する人”によって)役に立つかを判断されます。


ここで注目したいのは、役に立つものと役に立つものの対象をつなげるものは、固定的ではないということです。

そうであるからこそ新しい価値や未解決問題に対する解決の糸口が生まれます。


もちろん、ある一つの課題に対して、これまでなされてきた固定された解決策を試すことは重要です。

加えて、これまでにはない課題やより良い解決策を提示するためには、解決策=役に立つもののバリエーションを増やすことも同じくらい重要です。

なぜなら、そこに物事を前に進めるつながりが潜んでいるからです。


役に立つものと役に立つものの対象をつなげる力について実業家の松岡正剛氏は、「編集力」として語ります。

「編集力」の語られるところにおいて編集は、新しい価値を創り、可能性を増やすものとして捉えられます。


お客様と一緒に課題を解決するなかで、「編集力」のある提案を模索する「編集者」でありたいと私は思います。


制作部 吉村