
GA4(Googleアナリティクス4)を使ってWebサイトを分析していると、「Cross-network」という見慣れないチャネルが表示されていることに気づいた方も多いのではないでしょうか。

GA4のチャネルにCross-networkって出るけど、これって何の流入?
この記事では、GA4におけるCross-networkの定義や他チャネルとの違い、分析のポイントまでをわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
GA4のCross-networkとは
Googleアナリティクス4(GA4)における「Cross-network」は、複数のGoogle広告の配信面をまたいで発生する流入をまとめたチャネル分類です。従来のGoogleアナリティクス(UA)では見られなかった新しい分類で、主にP-MAXやデマンドジェネレーションキャンペーンなどの配信手法が登場したことにより導入されました。
Cross-networkを正しく理解することで、配信効果の評価や予算配分の最適化につながります。
Cross-networkの定義
Cross-networkに分類される配信形式は、以下の通りです。
参照元プラットフォームが「Google広告」
かつ
Google広告の広告ネットワークタイプが「クロスネットワーク」または「Googleが所有するチャネル」
クロスネットワークには、デマンドジェネレーション、P-MAX、スマートショッピングが含まれます。
または
Google広告の広告キャンペーン タイプが「P-MAX」、「アプリ」、「スマート」、「デマンドジェネレーション」、「ローカル」のいずれか引用元:[GA4] デフォルトチャネルグループ
https://support.google.com/analytics/answer/9756891
「検索」「ディスプレイ」「動画」といったチャネルで分けることが難しい場合に、Cross-networkとして分類されます。
どんな流入がCross-networkに分類されるか
GA4でCross-networkに分類されるのは、次のようなケースです。
- ・「P-MAXキャンペーン」を活用して広告配信を行っている
- ・「デマンドジェネレーションキャンペーン」でYouTube、Discover、Gmailなどの配信面を設定している
GA4では自動的にチャネル分類がなされるため、広告主側で意図してCross-networkに設定することはできません。
GA4のチャネルグループとCross-networkの関係
GA4では「Cross-network」「Paid Search」など、ユーザーの流入元をチャネルグループとして自動的に分類しています。

Cross-networkの他にはどんなチャネルがある?
デフォルトチャネルグループの一覧
GA4のデフォルトチャネルグループには、主に以下のような分類があります。
チャネル名 | 概要 |
---|---|
Organic Search | 自然検索による流入 |
Paid Search | Google検索広告からの流入 |
Display | Googleディスプレイ広告からの流入 |
Cross-network | 複数のGoogle広告の配信面から横断的に流入 |
Referral | 他のWebサイトからの流入 |
Organic Social | SNSからの流入 |
メール配信からの流入 | |
Direct | URLの直接入力やブックマークからの流入 |
Paid SearchやDisplayとの違い
GA4でのチャネル分類において、「Cross-network」は「Paid Search」や「Display」とは異なる概念です。広告が複数の配信面にまたがる場合、その流入はCross-networkに分類されます。これにより、チャネルの棲み分けがより複雑になっています。

Paid SearchやDisplayとの違いは?
Paid Search(検索広告)やDisplay(ディスプレイ広告)は、配信面が明確であることが最大の特徴です。
- Paid Search:Google検索広告からの流入
- Display:Googleディスプレイ広告からの流入
- Cross-network:上記を横断するような配信で、明確な分類が困難な広告
GA4では、広告流入の参照元やメディアが明確に識別できない場合に、Cross-networkとして扱われます。つまり、チャネルの区分が「不明確」なものがCross-networkに割り当てられます。
P-MAXとCross-networkの関係
Google広告のP-MAX(Performance Max)キャンペーンを利用している場合、Cross-networkに分類されます。
P-MAXとは、検索、ディスプレイ、YouTube、Gmailなど様々な配信面に広告を配信できるGoogleキャンペーンです。
P-MAXは目標ベースのキャンペーンタイプです。パフォーマンス型広告の広告主様はP-MAXを使用することで、1つのキャンペーンからすべてのGoogle広告のインベントリにアクセスできます。P-MAXは、キーワードベースの検索キャンペーンを補完するもので、YouTube、ディスプレイ、検索、Discover、Gmail、マップなどGoogleのあらゆるチャネルでコンバージョンに至るユーザーを増やすのに役立ちます。
引用元:P-MAXキャンペーンについて
https://support.google.com/google-ads/answer/10724817
様々な配信面に広告が配信されるため、流入元の明確な特定が困難であり、GA4ではCross-networkに分類されます。
Cross-network活用の分析ポイント
Cross-networkを正しく把握することで、広告効果の全体像を見失わずに済みます。GA4上ではチャネルの1つとして扱われているため、他のチャネルと同じように数値を追うことが可能です。しかし、複合的な流入が集約されている点から、分析時には注意が必要です。

Cross-networkの数字ってどう見ればいいの?
Cross-networkの数値の見方
GA4のレポートに表示されるCross-networkの指標は、他チャネルと同様に以下のような項目が確認できます。
- セッション数:Cross-network経由の流入数
- イベント数:Cross-networkが起点となったイベント件数
- ユーザーキーイベント率:Webサイトを訪問したユーザーのうち、特定のキーイベントを発生させたユーザーの割合
- アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間:Webサイトがユーザーのブラウザでフォーカス状態にあった平均時間
上記の指標を確認することで、Cross-network経由のユーザーがどの程度アクションを起こしているかを把握できます。特にP-MAXを利用している場合は、他のチャネルと比較することで配信結果を評価できます。
Cross-networkをGA4で分析する方法
Cross-networkに絞って分析するには、GA4の「ユーザー獲得」レポートを使います。
- ①レポートメニューの「ユーザー獲得」から、チャネルグループでフィルタを設定
- ②「Cross-network」で絞ることで、対象の数値だけを抽出
- ③必要に応じて、セカンダリディメンションで「ユーザー属性」や「デバイスカテゴリ」を追加
また、「探索レポート」を使えば、より柔軟な条件設定やクロス分析が可能になります。
Cross-networkの分析
Cross-networkのチャネルを分析する際は、単体の数値だけでなく、他チャネルとの比較や、成果への貢献度を見る視点が大切です。
分析目的 | 注目ポイント | 考察例 |
---|---|---|
効果測定 | CV率 | 他チャネルより高い→複数の配信面でのアプローチが有効 |
配信戦略の見直し | 平均エンゲージメント時間 | 滞在時間が短い→訴求内容がズレている可能性があるため、広告かLPを見直す |
このように、数値の単純な良し悪しだけでなく、配信戦略の改善や予算配分のヒントを得るためにCross-networkを活用しましょう。
よくある質問(FAQ)
Cross-network(クロスネットワーク)とは何ですか?
Cross-networkとは、Google広告の複数配信面(検索・ディスプレイ・YouTubeなど)を横断して配信される広告の流入をまとめて分類するためのGA4上のチャネルグループ名です。
- 【Cross-networkの概要】
- ・P-MAXやデマンドジェネレーションキャンペーンなど、複数の面に配信される広告が対象
- ・「検索」「ディスプレイ」などには分類されない
- ・GA4が自動的にチャネル分類を行うため、ユーザーが設定する必要はない
デフォルトチャネルグループとは?
GA4では、ユーザーの流入元(参照元やメディア)に基づいて、トラフィックを自動的にチャネルグループに分類します。この仕組みを「デフォルトチャネルグループ」と呼びます。
主なチャネルグループには以下があります。
チャネル名 | 概要 |
---|---|
Organic Search | 自然検索による流入 |
Paid Search | Google検索広告からの流入 |
Display | Googleディスプレイ広告からの流入 |
Cross-network | 複数のGoogle広告の配信面から横断的に流入 |
Referral | 他のWebサイトからの流入 |
Organic Social | SNSからの流入 |
メール配信からの流入 | |
Direct | URLの直接入力やブックマークからの流入 |
デフォルトチャネルグループの分類によって、広告や施策ごとの効果を比較しやすくなっています。
GA4の参照元とは?
参照元(source)とは、ユーザーがサイトに訪れる直前に閲覧していた検索エンジンやページ、SNSを表します。たとえば、Google検索からの流入であれば参照元は「google」と表示されます。
GA4では、以下の手順で参照元を確認できます。
- ①「ユーザー獲得」レポートを開く
- ②「セッションの参照元/メディア」を選択
- ③「google / organic」「t.co / referral」など参照元が表示される
流入元を知りたいときは、「参照元」を確認することで、ユーザーがどこから訪れたのかを把握できます。
まとめ:Cross-networkを正しく使う
Cross-networkはGA4において新しく登場したチャネル分類であり、従来の分析方法では捉えきれなかった広告の成果を可視化する手段として非常に重要です。特にP-MAXやデマンドジェネレーションキャンペーンなどの自動最適化型の広告キャンペーンが増加する今だからこそ、正しく理解し、活用することが求められます。
設定・運用のポイント
GA4でCross-networkを活用する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- ・チャネルレポートで他のチャネルとの比較を行う
- ・必要に応じて「探索レポート」でより詳細な分析を行う
今後注目すべきCross-networkの動き
Google広告の進化により、今後ますます自動配信型キャンペーンが主流になると予想されます。それに伴い、Cross-networkのデータ分析が重要になる場面も増えていくでしょう。
今後注目すべき動きは以下のとおりです。
- ・P-MAXの詳細な配信面データの開示範囲拡大
- ・GA4のチャネル定義や自動分類ルールのアップデート
今後のアップデートに注目しつつ、Cross-networkを軸にした運用戦略を立てていくことが、成果改善につながる大きな鍵となります。
今回の記事が、Cross-networkチャネルでの分析を考えているWeb担当者の方やマーケティング担当者の方の参考になれば幸いです。最新のトレンドや成功実績に基づいたWebサイトの分析を依頼したい場合は、Googleパートナーに認定されているシーエムスタッフまでご相談ください。業種や商品・サービス問わず、各企業様に最適なご提案をさせていただきます。
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